我流オーディオ独り言-1 <NSスピーカーのお話>
新カテゴリーです。我流オーディオ独り言 - その1 <NSスピーカーのお話>
私、オーディオマニアというほどのものではありませんが、楽器好き、生演奏好きで、ステレオ視聴も。
となれば、少しでも生音に近いサウンドを我が家のステレオにも期待したいということに。
で、こだわりのオーディオと、持論の独り言を綴ってみたいと思います。
ご共感いただける方、おつきあいください。
***
こだわりのオーディオと言っても、セットに数百万円もつぎ込むオーディオマニアではありませんので、海外製高級オーディオブランドのお話は出てまいりません。まずは、その点ご了解のほどを。
こだわりの、というのは、自分の求める音を探して...ということでしょうか。
昔は、アンプやスピーカーボックスを自作したり、市販品を改造したりと色々やってきました。
相性の良い組み合わせを探したり、部屋のレイアウトや、スピーカーの置き場所をかえることだけでも、結構違ってくるものです。
いろんな経験則や、持論を集大成していくことで、きっと求める音に近づいていけるのではないかと、もう、何十年も、趣味として試行錯誤してきました。
昨今では、オークションやリサイクルショップで、往時高嶺の花だった高性能機でも手頃な値段で入手することができるようになってきていますから、ますますセッティングに幅が広がるようになってきました。
***
あえて、40年前のスピーカーを選んだ私。
■YAMAHA NSスピーカー

YAMAHA NSスピーカーは、前回 <お気に入りのデザインモノたち--その6> でも そのデザイン性の高さを紹介しましたが、上記写真のものは JA-5002 ユニットで、長辺約70cmもある巨大スピーカーです。最近オークションで入手しました。このプロダクトデザインも魅力的ですねぇ。
ユニットでの入手のため、箱を制作するまでの間、現在待機中の状態ですが、前回紹介した JA-3501ユニット(長辺約50cm)搭載の YS-50 モデルや、NS-15、NS-250 のほか、JA-5004(長辺約60cm)を搭載する NS-18(下欄に画像を掲載)など、数セットを所有するに至りました。(全てオークションにて入手)

(資料:当時のカタログより NSスピーカーのデザインモチーフであるグランドピアノの造形
もちろん、無理矢理イメージを合わせた訳ではなく、特定の共振を防ぐための必然的な形状です。
エレクトーンのペダルや、ツイーターを設置するためにも都合の良い形状であったようです。)
NSスピーカーとの出会いは、前回も書きましたが、私の中学生時代。当然、当時購入できるはずもなく、そのまま私の中では幻のスピーカーになっていたのですが、独特のスピーカー形状は鮮烈に頭に焼き付いており、ネットの画像検索で見つけてからは、一気に数セットを買い集めたという次第です。(激レア製品ですが、ネットオークションを根気よく探せば だいたい月に1本ぐらいの確度で見つけることができるようです)
現在所有のステレオセットは、全てこのタイプのスピーカーに置き換わってしまいました。
なぜ、40年も前のスピーカーに魅了されたのか。
NSスピーカーは、有名なオーディオ評論家 長岡鉄男氏も好んで自作スピーカー用ユニットに使用したと言われるもので、豊かな音質は折り紙付き。
ただ、なにぶん40年も前の古いユニットであり、現在では廃れてしまった特殊構造のスピーカーということもあって、最初に入手するときは単に懐古趣味のつもりだったのです。現代のスピーカーと肩を並べられるなんて思ってもいなく。
しかし、30数年ぶりに聴く NS スピーカーの音には驚かされました。
一聴して解る、明快な音。明らかに現代のスピーカーとは違う鳴り方なのに、それは古臭い音でも貧弱な音でもなく、逆に、現代のスピーカーよりも、豊かで自然な音にさえ聴こえるのです。
40年も前のスピーカーが、現代のスピーカーと比べて見劣りするどころか、豊かにさえ感じる。
この不可解な現象を目の当たりにして、自分なりに分析してみました。
■能率が異常に高い。
NSスピーカーの音圧レベルは、のきなみ 100db 前後と、驚くほどの高能率です。
現代のスピーカーの多くが 80db台 〜よくて 90db 程度なのに比べると、実に10db 以上の差が。
10db の能率差は、アンプ出力(電力)換算すると 10倍。100db のスピーカーを10Wのアンプ出力で鳴らす音と、90db のスピーカーを100Wのアンプ出力で鳴らす音が同じ大きさで聞こえるという事実は、驚き以外の何者でもありません。
実際、スピーカーセレクタで現代のスピーカーと切り替え視聴すると、その音圧差だけで、迫力がまるで違って聴こえます。(正確に比較するためには、ボリウムを1/4回転ほどセットし直す必要があります。)
音圧が高いということは、ダイナミックレンジが広いということ。クラシックや JAZZ などには最適な特性で、小さな音から大音量まで、アンプを選ばず豊かに鳴ってくれることがまず美点です。
ちなみに、なぜこれほどまで差があるかと言うと...
現代のスピーカーは、アンプの高出力化に対応させるため、10cmほどの小さなスピーカーでも耐入力100W以上というのが当たり前で、そのためには振動部を強力なダンパでガチガチに固め、大入力に対しても歪みを最小限に押さえて鳴らすことを目的としています。さらに、小さなスピーカーでは再現しにくい低音を強調するためには、相対的に中高音域の音圧を下げる必要もあり、意図的に能率を犠牲にしているんですね。
それに対し NSスピーカーの時代のアンプは高出力タイプでも20〜30Wどまりでしたから、鳴りの良い、能率の高いスピーカーが求められたのでしょう。当時のスピーカーの中でも、大型サイズで独特のメカニズムを持ち、低音もふんだんに出せる NSスピーカーの能率の高さは別格だったようです。
でも、アンプ出力換算で 10倍も能率が違うとなると、スピーカーは進化したのやら退化したのやら...。
能率を押さえたスピーカーの多くは、精緻な音を目指しているようです。
高能率なスピーカーの音は、伸びやかに、高らかに鳴ることを目指していたのだと思います。
明らかに現代のスピーカーと違う鳴り方。好みが分かれるとすれば、まずこの部分だと思います。
■波動の面積が広い。
現代のスピーカーは軒並み小型化され、高額なスピーカーでも 20cmを超えるものは少なくなりました。
理由はいろいろあるのでしょうが、そんなの関係ねぇと言わんばかりに、NSスピーカーは超大型です。
我が家には置き場所の問題があり、大型の製品は入手を躊躇していますが、大型機 NS-30 や NS-370 などは 1mを超えるサイズになり、ペアで必要な訳ですから大変です。
しかし、大型スピーカーならではの豊かさは推して知るべし。音の面積・体積がまるで違います。

(堂々たる NS-370 ただ、一般家庭に置くには大きすぎ...。)
オークションで見かけたことがありますが、置き場所も無く入手を断念してしまいました。
例えて言うならば、ゆったり回る大型扇風機の風と、小さな羽を高速で回す小型扇風機の風の違いのようなもので、どちらが心地よいかと問われれば言わずもがなです。
実際、大きなスピーカーと小さなスピーカでは、「うるささ」が違います。
小さなスピーカーは音量を上げるとうるさく聴こえますが、大きなスピーカーは、大きな音でもうるさくは感じないのですよ。特に、振動板面積の大きな NSスピーカーの場合は、はっきりと実感できます。長時間聴いても疲れない音とも言われます。
ステレオ再生は、L、R の点音源の空間合成で成り立っていますが、何も、点音源だから小さなスピーカーで良いということではないのです。(もちろん、定位や位相の問題等色々ありますし、部屋のサイズ、スピーカー間の距離等の要因によっては何が良いとは言い切れませんが、扇風機に例えた部分などは感覚的に「大きいことはいいことだ」の部分でしょう。上の NS-370 のようなBIGサイズのスピーカーで、部屋が音で満たされるのを想像するだけで ゾクッとしませんか?)
現代のスピーカーが小型化してしまったのは、ユーザーの住宅事情の他に、高級オーディオが売れなくなったこと、製造コストや設計上の問題(他にもありますが)など、様々な制約の果てに卑屈化してしまったと言えば言い過ぎでしょうが、豊かなサイズのおおらかな音が、旧き良き時代の旧機種を物色しないと手に入らなくなってしまったのは寂しいことだと思います。
■普通のスピーカーなら高調波歪み、NSスピーカーなら倍音創成。
一にも二にも、サイズの大きさがこのスピーカーの特徴ですので、NSスピーカーは、そのサイズから さぞかし重低音が出るウーハーと思われるかもしれませんが、意外にも フルレンジに近いものです。
しかも、澄み切った倍音を含む中高音こそがこのスピーカーの真骨頂。
では、何故この巨大サイズから中高音が出るのか?
通常のスピーカーはフリーエッジ構造で、宙に浮いたコーン紙のピストン運動によって音が出ます。
その場合、コーン紙全体が一体的にピストン運動することが求められ、たわまぬように、また速い動きを妨げないように軽さも求められ、カーボンを採用するスピーカーまで登場しました。
それでも、宙に浮いた大きな振動板全体を正確にピストン運動させる理想的なスピーカーは開発出来ずに、結局、振動板の質量を小さくするためには小さな口径のスピーカーでなければ...ということで、こじんまりと小さくまとまっていったということです。
小さな口径で不足する低音は、「箱で何とかする」「ハイパワー化で対応できる」という考え方に行き着いたようです。現代のスピーカーは、基本、バスレフ方式という低音増強箱に収められ、見かけのサイズの割にはブーストされた低音域が出るように設計されます。
対して、NSスピーカーは、その巨大さゆえ振動板の質量は大きく、「たわまぬよう、軽く..」という命題を完全に無視したような設計になっています。しかし、そこがこのスピーカーの最大の特徴、あえて、「積極的にたわませる」という逆発想アプローチによる設計で、鳴りの良い振動板を獲得したのでした。
すなわち、振動板の中心(ボイスコイル部)からの振動を、固定された振動板の外周部までの間に、周波数に応じて 積極的にたわませて振動させる(屈曲運動)というメカニズム。
低域は物理的なサイズで確保しつつ、周波数によって振動面積や振動部分を変えながら、巨大サイズでも中高音域まで周波数が伸びるように設計されているんですよね。
(実際、低音は振動板全体で、中高音はセンターキャップ付近で鳴っているのがよくわかります。
分割振動と言うなかれ、イメージとしてはグラデーション振動とでも言うべき感じです。)
一般的な宙に浮いた振動板が歪んで振動する現象は分割振動(制御できていない破綻状態)と言われて嫌われますが、ちょっと違うのにお気づきでしょうか?
ピストン運動とは根源的に違う振動板の屈曲運動で、大きな振動板に引きずられることなく高い周波数と自然な倍音を発生させているのです。
だから、フリーエッジも必要なければ、硬い振動板も必要ない(振動板は屈曲運動しやすいスチロール製)。
ちなみに、このような振動板の屈曲運動は、倍音の発生も含めて、実は 楽器や人の声と同じ自然な振動のメカニズムなのだそうです。
また、ここで言う倍音とは、様々な音に対して同時的に発生する原音の整数倍の周波数の音であり、楽器の音が心地よいのは倍音をうまくコントロールしているからだと言われています。
普通のスピーカーの場合、信号に忠実なピストン運動が求められ、そうでない振幅は高調波歪みの類(破綻域)として嫌われますが、(実際、音が濁る)NSスピーカーは、意図的に倍音(美しく自然な音に聞こえる)として発生させるメカニズムなのです。
これは、当時から YAMAHA が公言していた理論で、長岡鉄男氏も実に巧くまとめ上げていると絶賛されていました。
【屈曲振動板構造 = スピーカーというよりは、倍音を生み出す楽器そのものの構造】
だから、管楽器や弦楽器の響き方、打楽器のインパクト音、ボーカルなどが驚くほどリアルに再現されます。
色々問題もあるのでしょうが、あえて、この方法に本気で取り組んだ当時の YAMAHA に拍手!
■音が伸びやかな 開放型エンクロージャー。
比較した現代のスピーカの一つに、タイムドメインスピーカーというのがあります。(ほかにも様々なタイプのを数種類所有しています。)
大変評判の良いスピーカーで、複数の知人から奨められて購入しました。(miniですけど)
これはもう、ことごとく、NSスピーカーと対極をなす思想で設計されているのが解ります。
ネットで設計理論などを検索すると、なるほどと思わせるものです。
簡単に紹介すると以下のようになるのだと思います。
・信号に忠実な再生を目指すために、振動板質量の小さな10cm未満のフルレンジスピーカーを採用。
・時間軸での振動の影響を無くすため、あらゆる共振要因を排除。
・小さな点音源からの音を自然に広げるために回折現象を妨げないエンクロージャー形状。
と言ったところでしょうか。
NSスピーカでは、1m 近いサイズのユニットもある訳ですし、スピーカーの振動板自体が複雑に共振しまくっているという現象も生じています。当然時間軸に対する振動の影響も絶大でしょう。
タイムドメイン理論の方が忠実再生という範疇では間違いなく正論ですし、新しい設計思想です。ビルゲイツ氏も自宅の7000万円のオーディオより良い音だと言ったそうな...。(100% リップサービスでしょうけれども)
それでも、私は、NSスピーカーを選んでしまいました。趣味・趣向の世界ですもん。笑わば笑えです。
でも、考えても見てください。いかに信号に忠実な再生のためとはいえ、10cm未満のスピーカーでは、再現性に制約がありすぎます。(例えば、鬼太鼓座の2mの大太鼓の音が再現できますか?)
いかに正しい理論といえども、こちらを立てればあちらが立たずというようなものです。
スピーカーの完成度というのは、まだまだその程度ということのようです。アンプの進化は目を見張るものがあるけれども、スピーカーはほとんど進化していないと聞いたことがありました。だから、40年前の理論でも太刀打ちできるのでしょうね。
所有はしていませんが、最新の、最高クラスのスピーカーの音も聴いておこうと、某メーカーのフラッグシップモデルの視聴にショールームを予約して出向いたことがあります。普段聴いているCDを持ち込んでくださいとのことでしたので、JAZZやクラシック、鬼太鼓座も持っていき視聴してきました。
国内外のオーディオ賞を総なめし、現状望み得る世界最高品質の音とのことで、店員さんも自信満々でしたが....
それでも、私は、NSスピーカーの音を選んでしまいます。趣味・趣向の世界ですもん。笑わば笑えです。
上記の世界最高品質と豪語される音を聴いた後でも私の気持ちは変わりませんでした。
世界最高品質の音と言いながら、やっぱりバスレフ箱でブーストされた、オーディオっぽい音にしか聴こえませんでした。鬼太鼓座の太鼓の音はバスレフ20cmウーハーの音でしたし、管楽器の音も NSに比べると倍音が不足ぎみで、リアルさに欠けましたねぇ。(元々のソースがそんな音だったのかもしれませんが...)
NSスピーカーが、より自然な音に聞こえるもう一つの理由は、背面開放型のエンクロージャーにもあると思います。
NSスピーカーを収めるエンクロージャーは、密閉型でも、バスレフ型でもない背面開放型で、底の抜けたバケツのような構造です。
まず、なぜ密閉型にしなかったのか。あれだけのサイズの振動板が動けば、ボックスの内圧の変化も相当なものになるはずで、内圧によって振動板の動きが抑制される(エアダンパー効果)からでしょう。詰まったような音になってしまうわけです。実は、密閉型のスピーカーは、多かれ少なかれ、そのような音をしています。密閉型にすれば、内圧を叩くことで、低音の量感を再現しやすくなるのですが、同時に詰まったような音になってしまう。
バスレフ型は、密閉型の欠点をカバーする部分もありますが、別の問題も発生します。オーディオ的な音とも言われます。また、やはり内圧が少なからずスピーカーの振動に影響することも避けられないため、デリケートな屈曲運動をする NSスピーカーには、やはり向かないようです。
そのため NSスピーカーのエンクロージャーは、密閉構造をとらず、エアダンパーによる振動板への干渉もほとんど考えなくてよいものとなっています。また、スピーカーボックスの背面にも音が存分に放出されているため、置き場所によって音場の再現性も千変万化するというおまけ付きです。(NSスピーカーの背面には、充分な空間を取ることが推奨されています)
このエンクロージャー構造によって、大きな振動板は実に開放的に伸びやかに振動することができるのです。
普通のスピーカーのサイズでは、低音が不足してしまって使い物にならない開放型エンクロージャーでも、NS の大きな振動板なればこそ十分成立するのです。

YS-50 のエンクロージャーは奥行きがあるため、背面だけでなく側面にもスリットが開いています。
このボックスを部屋のコーナーに置くと、側面スリットからの音は壁面との間に挟まれて、バックロードホーンのような道筋で前面に放散されます。(写真では、ボックスの右側が壁面を利用した開口部のように見えます)

おまけ:YS-50 当時のカタログ写真です。
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上記が、NSスピーカーが40年経ってもなお、最新のスピーカーと比べて遜色の無い魅力的な音を発する理由だと考えますが、ことごとく現代のスピーカーとは違うのがお解りになるでしょう。一言で言ってしまえば、NS スピーカーは YAMAHA 製の、良く出来た楽器だったということです。
実際、エレクトーン用のスピーカーとして開発されたものをオーディオに流用したものでしたし、エレキギターのスピーカーにも多く採用されていたものです。
そんなので本当にオーディオ用として通用するのか?? そんな構造だから廃れてしまって今ではその構造を採用するスピーカーも無くなってしまったではないか。。。 という声が聞こえてきそうです。
お疑いの方で、好奇心と、若干のお金を支払っても良いとお考えの方は、実際に手に入れ、ご自分の耳で聴いてみられるのをお奨めします。趣味・趣向の世界の話ですから、満足を保証するものではありませんが、きっと何か感じられるところはあると思います。少なくとも、楽器メーカー YAMAHA が、初めてナチュラルサウンドと銘打った快心の作な訳ですから。私は軒並み数セットを、がむしゃらにゲットしてしまうだけのインパクトを受けたのでした。
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けれども、どんな音楽に対してもソツなく対応できるオールラウンドな、「モニタ」タイプのスピーカー(後に YAMAHA が営業的に成功させた NS-1000モニタや、NS-10スタジオモニタなどの小型モニタースピーカー)とは本質的に違った設計思想のため、モニタスピーカーの販売で成功した YAMAHA は、一気にNSスピーカーの開発コンセプトを転換してしまったのでした。そのサイズから住宅事情や製造コストの問題も もちろんあったのでしょうけれど。
NSスピーカーが、現在では廃れてしまったのはこの辺りに理由があったのでは..と想像しています。
(モニタスピーカーは、録音スタジオや放送局などで「基準の原器」として利用されるオールラウンドなスピーカーです。癖の無いストレートな音が心情ですが、家庭で趣味に音楽を聴くには素っ気ないとも言われます。プロの現場で使われるプロ仕様というブランドイメージで特に国内では高い信頼を得ています。逆に NSスピーカーは、国内ではそれほどではありませんが、海外ではビンテージ扱いだそうです。)
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いずれにせよ、このすばらしく音楽的・楽器的といえるスピーカーが、40年も前に発売され、そしてほどなく姿を消してしまった。
それを今手にして、嬉しくもあり、切なくもある、複雑な心境です。
(私がこだわる FreeHand とよく似た境遇ですからねぇ)
YAMAHA には、モニタスピーカーとは違うジャンルで、NSスピーカーを復刻していほしいものですね。
大型の液晶モニタに人気がある昨今です。大型の平面スピーカーをアピールしてもよいのでは?
ちなみに、下の写真はオーディオ使用ではありませんが、我が家の42inch 液晶テレビの横に並ぶ NS-18 です。
ホームシアター仕様の5.1chですが、小型スピーカーを使用していた時とは まるで違う臨場感を再現してくれます。

(NS-18の奥行きは22cmほどしかありません。薄型液晶テレビにジャストマッチします。)

(NS-18 には、JA-5004 がいっぱいいっぱいのサイズで収まっています。このサイズが唸るんですよ !!)
NS スピーカー(別名:ぽんせんべい マニアの間では見た目からか、親しみを込めて、そう呼ばれてます。)は、オークションでの人気を見ても十分に現実味がありますし、音を聞いた人の多くは驚き、素晴らしい音と絶賛します。
YAMAHA さん、現代の技術で NSスピーカーを復刻されたら、ブランドイメージも更に上がるのではないかと思われますが、いかがでしょう?
***
今回は、こだわりのオーディオとして、YAMAHA NS スピーカーを紹介しました。
絶版になって、既に30数年。色々資料を調べながら書いてみましたが、誤りがあればご指摘ください。
我流オーディオ独り言は、何度かに分けて続けたいと考えています。
ご興味ある方おつきあいくださいませ。
→我流オーディオ独り言-2 <NSスピーカーのお話-2> アップしました。
→オーディオカテゴリー
私、オーディオマニアというほどのものではありませんが、楽器好き、生演奏好きで、ステレオ視聴も。
となれば、少しでも生音に近いサウンドを我が家のステレオにも期待したいということに。
で、こだわりのオーディオと、持論の独り言を綴ってみたいと思います。
ご共感いただける方、おつきあいください。
***
こだわりのオーディオと言っても、セットに数百万円もつぎ込むオーディオマニアではありませんので、海外製高級オーディオブランドのお話は出てまいりません。まずは、その点ご了解のほどを。
こだわりの、というのは、自分の求める音を探して...ということでしょうか。
昔は、アンプやスピーカーボックスを自作したり、市販品を改造したりと色々やってきました。
相性の良い組み合わせを探したり、部屋のレイアウトや、スピーカーの置き場所をかえることだけでも、結構違ってくるものです。
いろんな経験則や、持論を集大成していくことで、きっと求める音に近づいていけるのではないかと、もう、何十年も、趣味として試行錯誤してきました。
昨今では、オークションやリサイクルショップで、往時高嶺の花だった高性能機でも手頃な値段で入手することができるようになってきていますから、ますますセッティングに幅が広がるようになってきました。
***
あえて、40年前のスピーカーを選んだ私。
■YAMAHA NSスピーカー

YAMAHA NSスピーカーは、前回 <お気に入りのデザインモノたち--その6> でも そのデザイン性の高さを紹介しましたが、上記写真のものは JA-5002 ユニットで、長辺約70cmもある巨大スピーカーです。最近オークションで入手しました。このプロダクトデザインも魅力的ですねぇ。
ユニットでの入手のため、箱を制作するまでの間、現在待機中の状態ですが、前回紹介した JA-3501ユニット(長辺約50cm)搭載の YS-50 モデルや、NS-15、NS-250 のほか、JA-5004(長辺約60cm)を搭載する NS-18(下欄に画像を掲載)など、数セットを所有するに至りました。(全てオークションにて入手)

(資料:当時のカタログより NSスピーカーのデザインモチーフであるグランドピアノの造形
もちろん、無理矢理イメージを合わせた訳ではなく、特定の共振を防ぐための必然的な形状です。
エレクトーンのペダルや、ツイーターを設置するためにも都合の良い形状であったようです。)
NSスピーカーとの出会いは、前回も書きましたが、私の中学生時代。当然、当時購入できるはずもなく、そのまま私の中では幻のスピーカーになっていたのですが、独特のスピーカー形状は鮮烈に頭に焼き付いており、ネットの画像検索で見つけてからは、一気に数セットを買い集めたという次第です。(激レア製品ですが、ネットオークションを根気よく探せば だいたい月に1本ぐらいの確度で見つけることができるようです)
現在所有のステレオセットは、全てこのタイプのスピーカーに置き換わってしまいました。
なぜ、40年も前のスピーカーに魅了されたのか。
NSスピーカーは、有名なオーディオ評論家 長岡鉄男氏も好んで自作スピーカー用ユニットに使用したと言われるもので、豊かな音質は折り紙付き。
ただ、なにぶん40年も前の古いユニットであり、現在では廃れてしまった特殊構造のスピーカーということもあって、最初に入手するときは単に懐古趣味のつもりだったのです。現代のスピーカーと肩を並べられるなんて思ってもいなく。
しかし、30数年ぶりに聴く NS スピーカーの音には驚かされました。
一聴して解る、明快な音。明らかに現代のスピーカーとは違う鳴り方なのに、それは古臭い音でも貧弱な音でもなく、逆に、現代のスピーカーよりも、豊かで自然な音にさえ聴こえるのです。
40年も前のスピーカーが、現代のスピーカーと比べて見劣りするどころか、豊かにさえ感じる。
この不可解な現象を目の当たりにして、自分なりに分析してみました。
■能率が異常に高い。
NSスピーカーの音圧レベルは、のきなみ 100db 前後と、驚くほどの高能率です。
現代のスピーカーの多くが 80db台 〜よくて 90db 程度なのに比べると、実に10db 以上の差が。
10db の能率差は、アンプ出力(電力)換算すると 10倍。100db のスピーカーを10Wのアンプ出力で鳴らす音と、90db のスピーカーを100Wのアンプ出力で鳴らす音が同じ大きさで聞こえるという事実は、驚き以外の何者でもありません。
実際、スピーカーセレクタで現代のスピーカーと切り替え視聴すると、その音圧差だけで、迫力がまるで違って聴こえます。(正確に比較するためには、ボリウムを1/4回転ほどセットし直す必要があります。)
音圧が高いということは、ダイナミックレンジが広いということ。クラシックや JAZZ などには最適な特性で、小さな音から大音量まで、アンプを選ばず豊かに鳴ってくれることがまず美点です。
ちなみに、なぜこれほどまで差があるかと言うと...
現代のスピーカーは、アンプの高出力化に対応させるため、10cmほどの小さなスピーカーでも耐入力100W以上というのが当たり前で、そのためには振動部を強力なダンパでガチガチに固め、大入力に対しても歪みを最小限に押さえて鳴らすことを目的としています。さらに、小さなスピーカーでは再現しにくい低音を強調するためには、相対的に中高音域の音圧を下げる必要もあり、意図的に能率を犠牲にしているんですね。
それに対し NSスピーカーの時代のアンプは高出力タイプでも20〜30Wどまりでしたから、鳴りの良い、能率の高いスピーカーが求められたのでしょう。当時のスピーカーの中でも、大型サイズで独特のメカニズムを持ち、低音もふんだんに出せる NSスピーカーの能率の高さは別格だったようです。
でも、アンプ出力換算で 10倍も能率が違うとなると、スピーカーは進化したのやら退化したのやら...。
能率を押さえたスピーカーの多くは、精緻な音を目指しているようです。
高能率なスピーカーの音は、伸びやかに、高らかに鳴ることを目指していたのだと思います。
明らかに現代のスピーカーと違う鳴り方。好みが分かれるとすれば、まずこの部分だと思います。
■波動の面積が広い。
現代のスピーカーは軒並み小型化され、高額なスピーカーでも 20cmを超えるものは少なくなりました。
理由はいろいろあるのでしょうが、そんなの関係ねぇと言わんばかりに、NSスピーカーは超大型です。
我が家には置き場所の問題があり、大型の製品は入手を躊躇していますが、大型機 NS-30 や NS-370 などは 1mを超えるサイズになり、ペアで必要な訳ですから大変です。
しかし、大型スピーカーならではの豊かさは推して知るべし。音の面積・体積がまるで違います。

(堂々たる NS-370 ただ、一般家庭に置くには大きすぎ...。)
オークションで見かけたことがありますが、置き場所も無く入手を断念してしまいました。
例えて言うならば、ゆったり回る大型扇風機の風と、小さな羽を高速で回す小型扇風機の風の違いのようなもので、どちらが心地よいかと問われれば言わずもがなです。
実際、大きなスピーカーと小さなスピーカでは、「うるささ」が違います。
小さなスピーカーは音量を上げるとうるさく聴こえますが、大きなスピーカーは、大きな音でもうるさくは感じないのですよ。特に、振動板面積の大きな NSスピーカーの場合は、はっきりと実感できます。長時間聴いても疲れない音とも言われます。
ステレオ再生は、L、R の点音源の空間合成で成り立っていますが、何も、点音源だから小さなスピーカーで良いということではないのです。(もちろん、定位や位相の問題等色々ありますし、部屋のサイズ、スピーカー間の距離等の要因によっては何が良いとは言い切れませんが、扇風機に例えた部分などは感覚的に「大きいことはいいことだ」の部分でしょう。上の NS-370 のようなBIGサイズのスピーカーで、部屋が音で満たされるのを想像するだけで ゾクッとしませんか?)
現代のスピーカーが小型化してしまったのは、ユーザーの住宅事情の他に、高級オーディオが売れなくなったこと、製造コストや設計上の問題(他にもありますが)など、様々な制約の果てに卑屈化してしまったと言えば言い過ぎでしょうが、豊かなサイズのおおらかな音が、旧き良き時代の旧機種を物色しないと手に入らなくなってしまったのは寂しいことだと思います。
■普通のスピーカーなら高調波歪み、NSスピーカーなら倍音創成。
一にも二にも、サイズの大きさがこのスピーカーの特徴ですので、NSスピーカーは、そのサイズから さぞかし重低音が出るウーハーと思われるかもしれませんが、意外にも フルレンジに近いものです。
しかも、澄み切った倍音を含む中高音こそがこのスピーカーの真骨頂。
では、何故この巨大サイズから中高音が出るのか?
通常のスピーカーはフリーエッジ構造で、宙に浮いたコーン紙のピストン運動によって音が出ます。
その場合、コーン紙全体が一体的にピストン運動することが求められ、たわまぬように、また速い動きを妨げないように軽さも求められ、カーボンを採用するスピーカーまで登場しました。
それでも、宙に浮いた大きな振動板全体を正確にピストン運動させる理想的なスピーカーは開発出来ずに、結局、振動板の質量を小さくするためには小さな口径のスピーカーでなければ...ということで、こじんまりと小さくまとまっていったということです。
小さな口径で不足する低音は、「箱で何とかする」「ハイパワー化で対応できる」という考え方に行き着いたようです。現代のスピーカーは、基本、バスレフ方式という低音増強箱に収められ、見かけのサイズの割にはブーストされた低音域が出るように設計されます。
対して、NSスピーカーは、その巨大さゆえ振動板の質量は大きく、「たわまぬよう、軽く..」という命題を完全に無視したような設計になっています。しかし、そこがこのスピーカーの最大の特徴、あえて、「積極的にたわませる」という逆発想アプローチによる設計で、鳴りの良い振動板を獲得したのでした。
すなわち、振動板の中心(ボイスコイル部)からの振動を、固定された振動板の外周部までの間に、周波数に応じて 積極的にたわませて振動させる(屈曲運動)というメカニズム。
低域は物理的なサイズで確保しつつ、周波数によって振動面積や振動部分を変えながら、巨大サイズでも中高音域まで周波数が伸びるように設計されているんですよね。
(実際、低音は振動板全体で、中高音はセンターキャップ付近で鳴っているのがよくわかります。
分割振動と言うなかれ、イメージとしてはグラデーション振動とでも言うべき感じです。)
一般的な宙に浮いた振動板が歪んで振動する現象は分割振動(制御できていない破綻状態)と言われて嫌われますが、ちょっと違うのにお気づきでしょうか?
ピストン運動とは根源的に違う振動板の屈曲運動で、大きな振動板に引きずられることなく高い周波数と自然な倍音を発生させているのです。
だから、フリーエッジも必要なければ、硬い振動板も必要ない(振動板は屈曲運動しやすいスチロール製)。
ちなみに、このような振動板の屈曲運動は、倍音の発生も含めて、実は 楽器や人の声と同じ自然な振動のメカニズムなのだそうです。
また、ここで言う倍音とは、様々な音に対して同時的に発生する原音の整数倍の周波数の音であり、楽器の音が心地よいのは倍音をうまくコントロールしているからだと言われています。
普通のスピーカーの場合、信号に忠実なピストン運動が求められ、そうでない振幅は高調波歪みの類(破綻域)として嫌われますが、(実際、音が濁る)NSスピーカーは、意図的に倍音(美しく自然な音に聞こえる)として発生させるメカニズムなのです。
これは、当時から YAMAHA が公言していた理論で、長岡鉄男氏も実に巧くまとめ上げていると絶賛されていました。
【屈曲振動板構造 = スピーカーというよりは、倍音を生み出す楽器そのものの構造】
だから、管楽器や弦楽器の響き方、打楽器のインパクト音、ボーカルなどが驚くほどリアルに再現されます。
色々問題もあるのでしょうが、あえて、この方法に本気で取り組んだ当時の YAMAHA に拍手!
■音が伸びやかな 開放型エンクロージャー。
比較した現代のスピーカの一つに、タイムドメインスピーカーというのがあります。(ほかにも様々なタイプのを数種類所有しています。)
大変評判の良いスピーカーで、複数の知人から奨められて購入しました。(miniですけど)
これはもう、ことごとく、NSスピーカーと対極をなす思想で設計されているのが解ります。
ネットで設計理論などを検索すると、なるほどと思わせるものです。
簡単に紹介すると以下のようになるのだと思います。
・信号に忠実な再生を目指すために、振動板質量の小さな10cm未満のフルレンジスピーカーを採用。
・時間軸での振動の影響を無くすため、あらゆる共振要因を排除。
・小さな点音源からの音を自然に広げるために回折現象を妨げないエンクロージャー形状。
と言ったところでしょうか。
NSスピーカでは、1m 近いサイズのユニットもある訳ですし、スピーカーの振動板自体が複雑に共振しまくっているという現象も生じています。当然時間軸に対する振動の影響も絶大でしょう。
タイムドメイン理論の方が忠実再生という範疇では間違いなく正論ですし、新しい設計思想です。ビルゲイツ氏も自宅の7000万円のオーディオより良い音だと言ったそうな...。(100% リップサービスでしょうけれども)
それでも、私は、NSスピーカーを選んでしまいました。趣味・趣向の世界ですもん。笑わば笑えです。
でも、考えても見てください。いかに信号に忠実な再生のためとはいえ、10cm未満のスピーカーでは、再現性に制約がありすぎます。(例えば、鬼太鼓座の2mの大太鼓の音が再現できますか?)
いかに正しい理論といえども、こちらを立てればあちらが立たずというようなものです。
スピーカーの完成度というのは、まだまだその程度ということのようです。アンプの進化は目を見張るものがあるけれども、スピーカーはほとんど進化していないと聞いたことがありました。だから、40年前の理論でも太刀打ちできるのでしょうね。
所有はしていませんが、最新の、最高クラスのスピーカーの音も聴いておこうと、某メーカーのフラッグシップモデルの視聴にショールームを予約して出向いたことがあります。普段聴いているCDを持ち込んでくださいとのことでしたので、JAZZやクラシック、鬼太鼓座も持っていき視聴してきました。
国内外のオーディオ賞を総なめし、現状望み得る世界最高品質の音とのことで、店員さんも自信満々でしたが....
それでも、私は、NSスピーカーの音を選んでしまいます。趣味・趣向の世界ですもん。笑わば笑えです。
上記の世界最高品質と豪語される音を聴いた後でも私の気持ちは変わりませんでした。
世界最高品質の音と言いながら、やっぱりバスレフ箱でブーストされた、オーディオっぽい音にしか聴こえませんでした。鬼太鼓座の太鼓の音はバスレフ20cmウーハーの音でしたし、管楽器の音も NSに比べると倍音が不足ぎみで、リアルさに欠けましたねぇ。(元々のソースがそんな音だったのかもしれませんが...)
NSスピーカーが、より自然な音に聞こえるもう一つの理由は、背面開放型のエンクロージャーにもあると思います。
NSスピーカーを収めるエンクロージャーは、密閉型でも、バスレフ型でもない背面開放型で、底の抜けたバケツのような構造です。
まず、なぜ密閉型にしなかったのか。あれだけのサイズの振動板が動けば、ボックスの内圧の変化も相当なものになるはずで、内圧によって振動板の動きが抑制される(エアダンパー効果)からでしょう。詰まったような音になってしまうわけです。実は、密閉型のスピーカーは、多かれ少なかれ、そのような音をしています。密閉型にすれば、内圧を叩くことで、低音の量感を再現しやすくなるのですが、同時に詰まったような音になってしまう。
バスレフ型は、密閉型の欠点をカバーする部分もありますが、別の問題も発生します。オーディオ的な音とも言われます。また、やはり内圧が少なからずスピーカーの振動に影響することも避けられないため、デリケートな屈曲運動をする NSスピーカーには、やはり向かないようです。
そのため NSスピーカーのエンクロージャーは、密閉構造をとらず、エアダンパーによる振動板への干渉もほとんど考えなくてよいものとなっています。また、スピーカーボックスの背面にも音が存分に放出されているため、置き場所によって音場の再現性も千変万化するというおまけ付きです。(NSスピーカーの背面には、充分な空間を取ることが推奨されています)
このエンクロージャー構造によって、大きな振動板は実に開放的に伸びやかに振動することができるのです。
普通のスピーカーのサイズでは、低音が不足してしまって使い物にならない開放型エンクロージャーでも、NS の大きな振動板なればこそ十分成立するのです。

YS-50 のエンクロージャーは奥行きがあるため、背面だけでなく側面にもスリットが開いています。
このボックスを部屋のコーナーに置くと、側面スリットからの音は壁面との間に挟まれて、バックロードホーンのような道筋で前面に放散されます。(写真では、ボックスの右側が壁面を利用した開口部のように見えます)

おまけ:YS-50 当時のカタログ写真です。
***
上記が、NSスピーカーが40年経ってもなお、最新のスピーカーと比べて遜色の無い魅力的な音を発する理由だと考えますが、ことごとく現代のスピーカーとは違うのがお解りになるでしょう。一言で言ってしまえば、NS スピーカーは YAMAHA 製の、良く出来た楽器だったということです。
実際、エレクトーン用のスピーカーとして開発されたものをオーディオに流用したものでしたし、エレキギターのスピーカーにも多く採用されていたものです。
そんなので本当にオーディオ用として通用するのか?? そんな構造だから廃れてしまって今ではその構造を採用するスピーカーも無くなってしまったではないか。。。 という声が聞こえてきそうです。
お疑いの方で、好奇心と、若干のお金を支払っても良いとお考えの方は、実際に手に入れ、ご自分の耳で聴いてみられるのをお奨めします。趣味・趣向の世界の話ですから、満足を保証するものではありませんが、きっと何か感じられるところはあると思います。少なくとも、楽器メーカー YAMAHA が、初めてナチュラルサウンドと銘打った快心の作な訳ですから。私は軒並み数セットを、がむしゃらにゲットしてしまうだけのインパクトを受けたのでした。
***
けれども、どんな音楽に対してもソツなく対応できるオールラウンドな、「モニタ」タイプのスピーカー(後に YAMAHA が営業的に成功させた NS-1000モニタや、NS-10スタジオモニタなどの小型モニタースピーカー)とは本質的に違った設計思想のため、モニタスピーカーの販売で成功した YAMAHA は、一気にNSスピーカーの開発コンセプトを転換してしまったのでした。そのサイズから住宅事情や製造コストの問題も もちろんあったのでしょうけれど。
NSスピーカーが、現在では廃れてしまったのはこの辺りに理由があったのでは..と想像しています。
(モニタスピーカーは、録音スタジオや放送局などで「基準の原器」として利用されるオールラウンドなスピーカーです。癖の無いストレートな音が心情ですが、家庭で趣味に音楽を聴くには素っ気ないとも言われます。プロの現場で使われるプロ仕様というブランドイメージで特に国内では高い信頼を得ています。逆に NSスピーカーは、国内ではそれほどではありませんが、海外ではビンテージ扱いだそうです。)
***
いずれにせよ、このすばらしく音楽的・楽器的といえるスピーカーが、40年も前に発売され、そしてほどなく姿を消してしまった。
それを今手にして、嬉しくもあり、切なくもある、複雑な心境です。
(私がこだわる FreeHand とよく似た境遇ですからねぇ)
YAMAHA には、モニタスピーカーとは違うジャンルで、NSスピーカーを復刻していほしいものですね。
大型の液晶モニタに人気がある昨今です。大型の平面スピーカーをアピールしてもよいのでは?
ちなみに、下の写真はオーディオ使用ではありませんが、我が家の42inch 液晶テレビの横に並ぶ NS-18 です。
ホームシアター仕様の5.1chですが、小型スピーカーを使用していた時とは まるで違う臨場感を再現してくれます。

(NS-18の奥行きは22cmほどしかありません。薄型液晶テレビにジャストマッチします。)

(NS-18 には、JA-5004 がいっぱいいっぱいのサイズで収まっています。このサイズが唸るんですよ !!)
NS スピーカー(別名:ぽんせんべい マニアの間では見た目からか、親しみを込めて、そう呼ばれてます。)は、オークションでの人気を見ても十分に現実味がありますし、音を聞いた人の多くは驚き、素晴らしい音と絶賛します。
YAMAHA さん、現代の技術で NSスピーカーを復刻されたら、ブランドイメージも更に上がるのではないかと思われますが、いかがでしょう?
***
今回は、こだわりのオーディオとして、YAMAHA NS スピーカーを紹介しました。
絶版になって、既に30数年。色々資料を調べながら書いてみましたが、誤りがあればご指摘ください。
我流オーディオ独り言は、何度かに分けて続けたいと考えています。
ご興味ある方おつきあいくださいませ。
→我流オーディオ独り言-2 <NSスピーカーのお話-2> アップしました。
→オーディオカテゴリー
この記事へのコメント
オーディオのご趣味もあられるんですね。良いですね、羨ましい^^ 私はそれどころじゃない^^;
凄いスピーカーですね。変わった形の。どんな音がするんでしょうか、聴いてみたいですね。
私が高校生の頃はまだまだオーディオーメーかも元気がよくて、みなオーディオに嵌りました。マッキントッシュという名前もどちらかというのアンプの方が良く知ってました。
外国製のスピーカに憧れましたね。アルテックa7とかjblとか、大きなスピーカー。喫茶店なんかには青いエンクロージャー?という呼び方でいいのかな、JBL43XXなどの大きなスピーカーが4本あり、とても憧れました。今は喫茶店もなくなり、そういう大型スピーカーを見る機会がなくなりました。時々ヤフオクなどで検索して、あぁ、いいなぁ〜なんて思ったりします。
やっぱり最終的な夢は私もオーディオですね。わが家の座敷にパラゴンを置くのが夢です(笑)
わが家なんか、MacBook Airの下手なイラスト見られたかもしれませんが、あんな感じのしょぼくれた生活送っております。
でも音楽は大好きです。一日中ヘッドホンステレオで聴いてます。私もクラシックとジャズ聴きます。ブログじゃ昭和のアイドルばかりですが(笑)
今時のスピーカーのように広帯域ではないですし、
低音を唸らせる為の箱も持たない(枠だけですから)ですから
ドンシャリでもなく、透明感あるきらびやかな音でもないです。
でも、アコースティック系の実に存在感ある音が出、かつ、音場再現性にも優れます。
広大な振動板と背面開放の箱からは、前後左右に音が溢れ出てくる感覚で、
前に前に迫ってくるタイプのスピーカーとはいささか違う、
音空間に包まれて聴くといった感じでしょうか。
そういうところは、センターの反響板で音に広がりを持たせて聴かせることを意図した
パラゴンに通じるものがあるかもしれませんね。
(パラゴンは学生時代に聴いた時の印象が今も残っています。バロック音楽でした。)
NSスピーカーを手に入れてからは、もっぱらクラシック中心ですが、
若い頃は太田裕美さんを良く聴きましたねぇ。
今も iPad で鳴らしながら書いてます。(^^)
ひょんなことからこちらのブログにたどり着き、NSスピーカーに大変興味を持ちました。
入手して一度聞いてみたいと思っているのですが、何せ場所をとるものですしネットオークションなどでも客観的に見ると良いお値段がついています。
自分は、クラシック6:ジャズ2:ポップス2ぐらいの割合で聴くのですが、アコースチック系の音のようなのでクラシックには向いているのかな?と思っていますがフルオーケストラとかもいけますか?
主観で結構なのでご感想をお聞かせください。
当ブログが NSスピーカーとの出逢いのきっかけになるとすれば、大変嬉しく思います。
趣味の世界での出逢いですからね。相性もあるかとは思いますが、Ken1さまにとって
きっと良い出逢いになるものと思いますよ。
聴かれる音楽のジャンルが、クラシック6:ジャズ2:ポップス2 というのも
NSスピーカーユーザーにとっては、ど真ん中のものだと思います。(私もほぼ同じ感じです)
もちろん、フルオーケストラばっちりです。
他のページにも書いたと思いますが、このスピーカーは、特性がどうのこうの言う前に
「本当に自然に聞こえる」「音が生きている」と感じさせる包容力とエネルギー感があります。
加えて音の広がり感(広大な感じ)も半端ありませんから。
楽器メーカーのスピーカーですから、スピーカーが出す音に何を求めていたのかを感じることが出来ると思いますよ。
いきなり NS-30 ゲットという方から感謝メールを頂いたこともありますが、
初めて NSスピーカーに触れるなら、中型機の NS-250 辺りでも十分堪能出来ると思います。
私も1台目は NS-250 でした。NSスピーカーとの相性が良いようなら、すぐに大型機が欲しくなるかもしれませんけどね。
中毒になられたとしても責任は負えませんので悪しからずです(^^)
私はお小遣いで賄える、いわゆる6畳B級オーディオマニア(笑)なので現代の高価な機材を揃えてというより、自分が若かった頃に全盛だった国産の機材を安く手にいれて楽しんでいます。
特に70年代~90年代の国産製品は、オーディオでも楽器でも車でもメーカーが海外製品に追いつけ追い越せという意気込みで作った結果ごまかしの無い本物なので現代でも十分通用するものが多いと思っています。(回顧主義とか言われることもありますが。)
本当は自分が二十歳の時にJBLやTANNOY、BOSE等の中にあって唯一国産で衝撃を受けた1000Mを今のうちに確保すべく調べているうちにこちらのブログに流れ着き(笑)、主様の情熱の入れように迷いが生じました。
最近主流の小口径のスピーカーの音は確かに良いのですが、主様も書かれているように所詮16cmの口径からは16cmのスケールしか感じられません。
フルオケもバッチリという言葉で迷いが晴れました。
1000Mは、玉数が多いので未だしばらくその気になれば出会いもあるでしょう。
NSスピーカーとの出会いを探したいと思います!
私は所有はしていませんが、勿論聴いた事は有ります。
初代 NS スピーカーが、楽器メーカーの威信を賭けて開発したものとすれば、
NS-1000M は、本格スタジオモニタとしてオーディオメーカーの威信を賭けたものと
言って間違い無いと思います。
音の性格的には かなり違うものなので聴き比べてみるのも面白いでしょうけれど、
初代 NSスピーカーの方が、より音楽的な音だとする意見は多いようです。
(音楽的な音って? かなり感覚的な表現ですけれどもね)
営業的、ブランド的な成功によって断然 NS-1000M の方が評価が高いですが、
より音楽的な音と言われる初代 NSスピーカーの音も是非体験なさってください。
ただ、他のページにも書いていますように、初代 NSスピーカーの音は、
キレのある重低音、きらびやかで透明感ある高域… という類いの音ではありません。
一聴しただけで並の音ではないと感じられるような非日常的な音を求める向きには
物足りなく感じられ、酷評される方も中には居られるようです。
ただ私は、そんな特別な音ではない、普通に聴こえる音が身上の初代 NSスピーカーにこそ、
今となっては特別な感情を覚えずには居られません。なにせ、初代 NS スピーカーほど耳に馴染む音を聴かせてくれるスピーカーには、とんと出逢うことが出来ないからなのです。
ヤフオクを探しまわっても、NS-30 辺りは極まれにしか出逢う事は出来ませんが、
NS-250 辺りなら、出逢える確率も高くなります。
良い出逢いがありますようお祈りしております。
実は、、、NS-20、、、本日買いました。英国はSomersetに住んでいるのですが、こちらのebayに個人売買で出品されていたものです。
NSスピーカーのことは知ってはいたのですが、当時は全く手の届かない高額なHiFiでしたね。興味はあったのですがどんな音がするものやら、と。また、今までは小型のスピーカーに興味が傾いていましたのでVictor SX-3(これもこちらで手に入れた中古です)をメインに JordanWattsのJuno(当然中古ですね)や山水の組子格子のスピーカーなどでクラシックやジャズ、ポップス、歌謡曲を聞いていました。
では何故、今回NS-20に手を出したのかといえば、、、もちろんこちらのサイトの影響です(責任、取っていただけます? 冗談!)。然し乍ら、ほんの少し聞いただけですけれど「騙されてよかった(騙されたのか?)」(失礼)。正直、音が生きているというのはこういうことか、箱の臭みがなく、空間に音楽を伝えるということがどれだけのものなのかという驚きでいっぱいです。
通常、このようなサイトにコメントを書くことのない自分ですが、一言、お礼を言わなければと思い駄文を綴っております。
これからどのように変わっていくか、自分の耳が慣れていくか楽しみです。ご迷惑でなければこの後に報告してまいりたいと考えております。これからもオーディオの新しい楽しみ方を教えていただければ幸いです。
ようこそ、NS同好会へ(^^) NS-20 入手おめでとうございます。
「正直、音が生きているというのはこういうことか」というコメントを頂け
望まれた方の元に、お望みのものが届いたようで、本当に嬉しく思いますね。
時々、私のブログせいで散財してしまったと言う方からメールや電話を頂くのですが、
皆さん同様の事を仰って感謝されますので、やはり当時のNSスピーカーはただ者ではないと再認識させられます。
本日届いたという事は、これからの毎日が楽しみですね。
セッティング次第で、益々驚く音を聴かせてくれるようになると思いますよ。
ちなみに、大きな音面に包まれる感覚の中に、音の芯や奥行きがはっきり見えてくるようにセッティング出来てくると本当に鳥肌もんです。
是非、その後の御報告も楽しみにお待ちしております。
今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。
私は1年以来、NS-30のペアを持っています。
クロスオーバーフィルターを再構築しても、スピーカーからの音が本当に奇妙です。スペーシャライゼーションはオフのようです
特にビンテージ音楽:ジャズ、デイブ・ブルベック - タイムアウト。
私は各スピーカーが一致することなく再生されているように感じる...フェーズのアウト?多分。
左と右のサイドはステレオでブレンドされていないようです。
ステレオが尊重される唯一の瞬間は、私がアグネス・オベルのような現代音楽や現代的なジャズを演奏するときです。
これが正常かどうか教えてください。
私は間違った極性のために12vセルで各ドライバをテストしましたが、すべてが問題ありません。
または私はそれらを一緒に近づけるべきでしょう、実際には彼らは1メートル間隔です
後壁に完全に飾られた
リスナーの位置にあるドライバーと一緒に配置する必要があると思うかどうかを教えてください。ここに私の現在の設定があります:
llか、このように置かなければならないか
コメントありがとうございます。
リンク先の投稿を確認させて頂きましたが、流暢なフランス語のため、自動翻訳では上手く翻訳出来ないようでした。 m(_ _)m
「フェーズのアウト? 多分」は、位相面の不一致を仰ってられるのでしょうか?
それは見ての通りですね。
実は私は、Technics社製のリニアフェイズスピーカーというものも持っています。
ハニカム平面スピーカーを同一面上に配置した、理屈上、位相面が完全一致していると言われるスピーカーで、NS-30 のバラバラ配置とは思想的に対極をなすようなものです。
もちろん、それぞれのスピーカーに良い面、悪い面があり、結局は好き嫌いで判断されることだと思われますが、NS-30 とリニアフェイズスピーカーを比較しても、それぞれの音の特徴に差こそあれ、フェーズ面の違いによる優劣を云々する程のものではないと考えています。
少なくとも、位相面の不一致は、LRを逆相で接続するなどすればおかしなことになりますが、複数のスピーカーの位相がズレている程度は、世の大半のスピーカーがそうであるように、個性を創り出す一要素程度と認識して良いものだと感じています。(逆に言えば、リニアフェイズに拘ったせいで、平面スピーカーの音は受け入れられること無く廃れたと言っても良いぐらいですから)
位相面の不一致に関しては、私の経験上、混沌とした中にも(中にこそと言うべきか)音場再現的に面白い現象も感じられる、永遠のセッティングのテーマとさえ思えるところがあります。
「後壁に完全に飾られた」?? は、よく解りませんが、NS-30の背後は、最低でも数十センチの空間を空けて、音の通り道を作る必要があります。
リスニングポイントは、私の場合、一辺 3.5mの正三角形配置で聴いています。
部屋の広さは、約30m2(18畳)です。
音響特性を計測する目的でもなければ、趣味のオーディオに正解など無いと思われます。
NS-30 と言う特異なスピーカーをお持ちな訳ですから、どうぞ存分に、納得いく鳴り方を追求されてください。
NS-30は、その持ち前の鳴りっぷりで、精一杯期待に答えてくれると思いますから。
昨年の夏にこちらに書き込みをし、その直後にns-15を入手いたしましたが、ひっくり返しても逆さにしても、もやっとした音色に馴染めず手放してしまいました。
しかし1週間ほど前に某オクでns-20が出品されており引き取り可能な地区でしたので、もう一度だけえいやー!で落札してしまいました。
持ち帰りやっとの思いで2階の部屋に設置し音を出してみましたところ、スコーカーがあるせいかns-15ほどの違和感は無かったものの、やっぱり中高音の眠たさに「やっぱり半世紀前の機材は所詮こんなものか~」と就寝。
翌日、さて転売するにも1階に降ろす気力もないしな~とか思いながらソースをとっかえひっかえ変えて聞いているうちに打楽器の音にはっとしました、次にアコースチックギターの音(自分も多少弾く)に再びビックリ。スピーカーから鳴っている音ではない!まるでスピーカー自体がギターのような感覚すら覚え、もうそこから夢中で色々なソースを試しました。
しかもその都度、今までメインで聞いていたKEFのQ5と切替ながら聴いていくと昨日は透明な明るい音でやっぱりこっちだよなと聴いていたKEFが何とも無機質な音にしか聴こえなくなってきたのです。
あ~これがナチュラルサウンドなんだと納得したとともに再入手して良かったと心底思いました。
ネットを見ると酷評されていることもありますが、このスピーカーは通常のスピーカーと比較してはいけないんだとも思いました。
ソースによっては苦手な部分もありますし、全域のバランスが取れているかというと今でもそうは思いませんが、今まで安物ばかりですが色々なスピーカーの音を聴いてきましたが、こんな音を出す箱はありませんでした。
そういう意味では、通常のスピーカーの価値観で聞くと良い評価に繋がらないのも納得できます。
通常のスピーカーの概念は一度捨てて向き合ってみた人だけにこのスピーカーの良さがわかるような気がします。
出会えて良かった。
貴重な体験をされたようですね。なにはともあれ、戻って来られて良かった。
NSスピーカーは、減点法で採点されたら、間違い無く落第点なんですよね。
優等生のスピーカーをお持ちだから、最初は古臭い点ばかりが気になったんでしょう。
そりゃ、「透明な明るい音」の現代の高性能スピーカー、
例えるなら LED の光と行灯の光の比較みたいなもんですからね(笑)
でも、もうお解りのように、NSスピーカーには現代の高性能スピーカーにはないものがあるんですよね。
私もこのブログで、なんとかその辺りを伝えたいと思うんですけど、
私の文章力の限界で、もどかしいところです。
加点式でいくと、その評価ポイントは計測器では測れないものばかりになるんですよね。
・大きな共鳴板・大きな音面による自然な音の響き方
・前後に広がりを生む複雑な位相面
・箱の影響を受けにくい開放型構造 etc.
これらの美点を最大限引出せるソースが、アコースティック音楽なんですよね。
録音による差も大きいですが、変にミキシングされていない自然なオーケストラの録音や、
旧い JAZZ の録音などに、ホントに生演奏を再現してくれるようなソースと出逢えることがあります。
仰ってるように、現代の高性能スピーカーの音は、高品位であるのは間違い無いですが、
如何せん、均整が取れすぎていると言うか、綺麗すぎると言うか、作られすぎていると言うか、、
生音とは別の、作り込んだジオラマ的な音に聴こえてしまうような気がしています。
私は、もう20年に渡り、平均2ヶ月に1度以上は大阪のシンフォニーホールに出掛け、
オーケストラの生演奏を聴いています。
生演奏の音は、やはり現代の高性能スピーカーの音とは違うと言う印象を持っています。
しかし、NSスピーカーの音の響かせ方や、音の複雑さ、箱の癖の無さは、
計測器では測りようの無い部分で、生音を彷彿とさせるという意味で、
かなり生演奏に近いものを再現してくれていると思っています。
このスピーカーは、セッティングによって、如何様にも化けてくれます。
必要なら、サブウーファーやスーパーツイーターを追加しても良いでしょう。
私ところのは、他の記事にあるように、オリジナルを尊重しつつ色々いじっています。
Ken1さまも、NSスピーカーと益々良いお付き合いが出来ますようお祈りしております。
自分は父が45年くらい前に買ったヤマハMS-5というアンプ付レコードプレーヤーと、NS250の音を聴いて育ちました。
この音が当たり前だと思っていたわけですが、大人になるにつれそれが唯一無二のものと気付いていきました。
今年になり、片方のツイーターが鳴らなくなり本来の音が聴けないことに寂しさを感じておりました。
オークションでやっとNS250を手に入れ、木の状態はボロボロでしたが音は抜群で安心しました。そして久しぶりに聴いた本来の音に感動しました。
偶然にもASPECTさんの記事を読み、あらためてこのスピーカーの独自性に驚きました。発泡スチロールのコーンが未だに劣化せず、迫力のある音を響かせているのは驚異的でもあり、やっぱり日本製品の信頼性を証明しているのかな、などと感慨を深くしています。ありがとうございます!
NS-250 で育ったんですね。 羨ましい耳ですね。^^
最近になって、ますます思いを強くするのは NSスピーカーの音の生々しさです。
音波形の正確な再現を至上命題とするスピーカーとは違って
音の有り様に楽器の息吹を求めた NSスピーカーの音には、強い生命力が感じられます。
一定品質以上のスピーカーであれば、音の違いは、それぞれの個性と言えるもので
低音のキレがとか、高音の伸びがとか云々される訳ですが、
それらの差異は耳と脳が上手く処理してくれるので、
すぐに耳が慣れて、好き嫌いの範疇に収まってしまうものだと思います。
でも、生々しさに関して言えば、耳が慣れれば慣れる程
「なにか違う」感が醸成されてくる部分ではないかと感じています。
NSスピーカーの最大の美点は、その、生々しさ、生命力に溢れる音にあると確信できます。
だから、50年も前のスピーカーの音に、ハッと感動させられるんでしょうね。
低音がどうの、高域がどうの言ってる間は、まだまだ解っとらんなぁなんて、
NSスピーカーユーザーとしては思ったりなんかしてしまうんですよね(笑)。
友人たちに聴かせると、みんな「聴いたことのない音」というような表情をします。そして「良い音」と。
耳が肥えてるとかじゃなくて、「良い音」ってきっと誰にでも解かるんだろうなと思います。
「聴いたことのない音」というような表情は、きっと
「スピーカーっぽくない音」と感じてのことでしょうね。
最近のスピーカーに比べ、明らかにナローレンジではあるけれど
物足りなさを感じさせる事など微塵も無い、
朗々と生きた音を響かせてくれる希有なスピーカーだと思っています。
「生演奏の楽器の息吹を求めた」という記事に共感する部分として、
現在12畳の応接間で聴いていますが、部屋のどの部分で聴いても心地よい音、と感じる部分かと思いました。
部屋の隅っこでお茶を入れている時とかにも、心地よく感じる音。
必ずしも三角形の頂点で正面で聴かなくても良い音。
そこで生演奏をしているのに近い音なのだからかも、と今気づきました。
ありがとうございます。
ぽんせんべい同好会へようこそ ^^
ホント、死ぬまで手放せないですよね! このスピーカーの音にハマってしまうと
オーディオ遍歴に終止符を打ってしまいますからね。
探していた音、満足いく音に、遂に出逢ってしまったわけですから ^^
こちらのブログページを書いたのがちょうど10年前ですが、
NSスピーカーに対する印象は全く変わらず、それどころか、
ますます愛おしくなるばかりです。
それこそ、死ぬまでこの音に包まれているためにも
耳を大切に過ごしたいものですね。
コメントの確認が大変遅れてしまい申し訳ございません。 m(_ _)m
ビビリ音ですね。おそらく、ボイスコイルがマグネットヨークに当たっているものと思われます。原因は、重量物である大型マグネットが、永年の振動や衝撃によって微妙に位置がずれることで起こるようです。
自己責任での対応になりますが、マグネットを固定してあるネジを緩め、位置の微調整をすることで改善される可能性があると考えます。(私どもでも、1本、同様の症状のものがあり改善に成功しました)
ボイスコイルが収まっている場所は、わずが1、2mmほどの隙間ですので微調整はかなりシビアな作業になります。また、無理に動かしてボイスコイルを痛めると取り返しのつかないことになることも考えられます。どうぞ、お気をつけてチャレンジされてください。
1カットのみですが、修理時の写真がありましたので、下記にてご覧いただけます。
http://aspect-design.info/Download/2021/NS/SANY1314.jpg
YS-50 素晴らしい音を聞かせてくれる貴重なスピーカーですので、ぜひ修理に成功されて、臨場感あふれるステレオで再生できるよう、お祈りしております。
私も最初期NSスピーカーに魅了されている一人です。現在「NS-370」「NS-20」「NS-310」を所有しており ”Natural Sound” を日々堪能しております。
歴史に埋もれたこの銘品をもっと世の中の人に知ってもらいたく只今Webサイトを制作している最中でもあります。
そこでブログ主様にご相談ございます。
掲載されているカタログの高精細scanデータをお譲りいただけないかというご相談でございます。唐突かつ不躾な内容で誠に恐縮でございます。
何卒ご査収のほど宜しくお願いいたします。
コメントありがとうございます。
NS-370 ですか、よいですねぇ。風格がありますよね。
NS-30 の横長タイプですから、よほど広い部屋でないと置けませんね。羨ましい限りです。
ところで、「掲載されているカタログ」は、拙ブログの NS-30 カタログのことでしょうか?
PDF にまとめたものがありましたので、下記アドレスよりダウンロードいただけるようにしました。
https://aspect-design.info/Download/NS-30.pdf
画像として必要な場合は、PhotoShop などのアプリで開いていただければ画像保存可能です。
貴ブログ公開されましたら、是非お知らせください。楽しみにお待ちしております。
ヤフオクやeBeyを探しても「NS-30」のカタログは見つからず仕舞いでありましたので本当に助かります。
ブログ主様が貴ブログでも書かれている通り、最初期NSスピーカーの “加工されていない音源” の表現能力はとても素晴らしいと当方も感じています。
当方制作のWebが完成しましたら是非ご連絡させていただきます。
Web掲載コンテンツの一つとして考えていますのが例えば、ピアノやチェロなど鍵盤楽器・弦楽器の収録音源を(ただいまプロの演者さんと色々相談中であります)を、NSスピーカーから出力のうえ録音した映像音声データを掲載、なんてことも面白いなぁと様々妄想しています。
当方の勝手を申しますと、ブログ主様と是非一度対面で、「NSスピーカー談義」をすることができれば、なんて素敵なことだろう!と想っております。その折には国内でしたら小生どこでも伺います!!
寒い日が続きますが何卒ご自愛くださいませ。この度は誠に有難うございました! 大津谷勇 拝
ご返信ありがとうございます。
貴殿が制作中のサイトは、ブログレベルではなくて、本格的な webコンテンツなんですね。
それは、ますます楽しみです。
「NSスピーカー談義」も良いですねぇ。大阪方面にお越しの際には、ぜひお立ち寄りください。
お時間のあるときにメールでもいただけましたら、「メール de 談義」も楽しそうです。^^
今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。