MAC遍歴--3

デザインオフィス、アスペクトデザインのMAC遍歴 <その3>です。
     →その1その2はこちら。
なつかしい商品名などに興味ある方おつきあい下さい。
 
今回は、MAC本体ではなく、当時のMACにインストールして使用していた、アプリケーションソフトを紹介したいと思います。
 

■ALDUS FreeHand 3.1J ポストスクリプトDTPアプリケーション 当時価格12万円
 
ALDUS FreeHandは、ADOBE Illustratorと同時期に開発されたライバル関係のデザインソフトですが、操作性の良さ、先進的な高機能で、常にIllustratorをリードしてきたと言われています。
アスペクトデザインでは、当初から両者を比較し、迷わずFreeHandを選択したのでした。

同じバージョン(例えば写真のVer.3)のFreeHandと イラストレータ(以下AI)の機能差は、以下のようなものでした。
・プレビュー編集(AIは、Ver.5から)
・レイヤー・スタイル搭載(AIは、Ver.5から)
・複合パス対応(AIは、Ver.5から 現在もパスの向きに制約有り)
・分版・特色対応(AIは、別アプリ、セパレータ対応)
・ドキュメント概念(AIは、Ver.5から)
・グラデーション塗り(AIは、Ver.5から それまではブレンドで対応)
・ブレンドの再編集(AIは、Ver.8から)
・100回のUnDo(AIは、Ver.5から それまでは1回限り)
・TIFF対応(AIは、Ver.8から グレーTIFF着色はCS2から)
    ※若干の記憶違いはあるかもしれません


どう見ても、バージョン2つ分以上、FreeHandの方が進んでいたんですね。
ただ、あまりの高機能に、QUADRAクラスのMACでなければ動かす事が出来ず、当時の普及版MACには、AIの方が相性が良かったため、結局広く普及したのは開発の遅れたAIで、当時の開発タイミングの違いが現在の明暗にまでつながったと言えるのかもしれません。
(かつて、ビデオ規格で、開発先行した技術指向のSONY ベータ(β)が、放送局でのシェアでは圧倒したものの、家庭用では後発の松下陣営に差をつけられたのとよく似た図式だと思います。Windows と Macもそんな図式の部分がありますね。)
 
 
その後、FreeHandは、Ver.4でマルチページ機能を搭載し、さらにIllustratorとの機能差を広げましたが、ADOBEが繰り出した対抗策は、AIを高機能化するより先に、FreeHandもろとも、ALDUS社を乗っ取るという掟破りでした。 金に物言わせた その後のMacromedia社買収劇と同じパターン....

そのため、ALDUS FreeHand 4J は幻のソフトとなり(英語版のみ存在)、FreeHandの先進機能がそのままAIに搭載され FreeHandは抹殺されるのではないかとユーザーは危惧したものでした。
      (※Macromedia社の買収では、それがついに現実のものとなってしまいましたが...)
実際、ALDUS社買収後に開発された AIの Ver.5は、FreeHand 3 の機能の多くがそのまま搭載されており、新バージョンの出ない FreeHandユーザーは悔しい思いをしたものでした。
 
 
しかし、FreeHandの開発者グループが ADOBE社を訴えた裁判では勝訴。FreeHandの開発権を奪い返し、Macromind社と合併、新社名をMacromedia社とし、満を持して Ver.5をリリースする事となるのです。

Macromedia社すら買収されてしまった今となっては、負け犬の遠吠えのように聞こえてしまうかもしれませんが、Windows VS Macや、VHS VS βのように、市場シェアだけでは語れない、捨てがたい高機能へのこだわりがあるという事も、訴えていきたいと思います。

この記事のカテゴリーは「MAC遍歴」ですが、MACにまつわるソフトも含めての、こだわりを書いていきたいという思いで書いてみました。FreeHandへのこだわりは、さらに深まっていきますので、別カテゴリーへの展開で改めて紹介したいと思います。


別カテゴリー【 FreeHand で行こう!】立ち上げました。 →こちらから。

Mac遍歴<その4>はこちら  
 
 
 

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